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自分の短歌ですきなやつ、まとめる。
蜃気楼蝉の鳴き声ジリジリと油絵は今ひびわれていく
透き通る氷のようなこの心あなたの温み結露が滲む
寝転がる乱反射する日の光プールの底に沈む宝石
間違えて生まれたくせに僕たちはいつのまにやら正しくなって
雨ざらし心に降った哀しさよそのひと粒は星屑だった
さようなら君が忘れた夏たちは僕が飲み干すしゅわしゅわソーダ
求めても溺れるだけさ灰になれ空を泳いで焼け落ちてゆけ
意味がない会ってしまえば私達言葉はすべて浴槽の中
二人きりワルツを踊る公園でくるくる回る僕らを軸に
¹⁰ 交差する夏の余韻と鈴の音が命を紡ぐ旋律の秋
君がみる 景色の中に あてはまる ピースになんて ぼくはならない
慎ましく ひた隠してる 性欲を ゆっくり注ぐ 器を作る
明日から幻になる君だから思い出越しに触れたくなって
曖昧なあたたかさだけ残るから仮の名をつけ抱きしめていた
泥だんご 磨き続けた 宝石を 無邪気に壊す 子どもでいたい
糸を引く唾液のような感情が灰に滲んで鼻腔を刺した
影を差す屈折さした言葉では迷路の中に途切れてしまう
過ちだ こぼれた水が渇いてもなかったことにならないはずだ
昔から患っていた淋しさと共に歩むと決めてみました
²⁰ 間違えばただただ二人削れてく消しかすだけが端に積もって
逃げ腰で刀も振れず負け惜しみ模擬試合では調子いいのに
身にまとうフィクションなんか脱ぎ捨ててアマゾン川でピラニア釣ろう
水槽の黄色い線の内側で放流される魚を見てる
愛してたそんな言葉を被せたらすべて桜に変わる気がした
君は今幸せですか生れた日今日でさよなら手紙送るよ
解けてた靴ひもみたいな約束にしゃがんでぼくら進めないまま
真っ白なパーカーを着て外へ出たいラーメンとかも気にせず食べたい
内臓の入れ物でしかないくせにこの空洞を埋めたがるのだ
葉桜はギンガムチェックチョコミントさわやか色の夏の風向き
³⁰ 漠然なわたしはきみと物差しで確かめるたび劣等感
めんどくさい。理由なんてこれだけだ他の言葉はただの演出
屈折した一直線の僕だけ 教科書みたいな君を焼くのは *
包丁の先が丸くて死ねないと夕飯作り思ってしまう
アスファルトぬるい光が反射して油彩画みたいにてらてらしてる
「夏、嫌い」暑さに茹だる君は今アイス片手に風を浴びてる
死にたいと君は言うけどいつだってきれいな水を飲みたがってる
僕たちは惑星でありひかれ合う おもいおもいにおもさを忘れ
君の手の冷たさを知る夜の底 砂浜の熱を波は知ってる
なんとなく朝の隙間に怯えてる 霊感とかは特にないけど
⁴⁰ 人生に採点なんてないからとケアレスミスをたしかめしない
ぬかるんだ麻酔のような熱を帯び疼いた夏は縫合された
嘘じゃない隠してるだけすきま風しっかり閉じてこごえぬように
愛や恋 仮説でしかない 心だが ヒト科の中では君が好き
転がった宝石だったガラス玉碧そよぐ夏の静脈
君の眼に映ったものが本当と信じていたし見てほしかった
僕たちは二つになった 丁寧な断面だけがそこに残った
被らない帽子を買った帰り際あの日あなたが買った帽子だ
火の玉が僕らの想いと重なっていずれ落ちると思ってしまう *
ももいろが花瓶に咲いて春めいた私の頬も染まるくらいに
⁵⁰反射した光の迷路で僕たちは約束という太陽をさがす
スキキライ偶然落ちた花びらで嫌いになって好きだと知った
揺れているペットボトルの水面が前触れのない心みたいに
秋風がくすぐったくて淋しいと言ってみただけ、なんにもないよ
感情が通り過ぎてく涼しさを冬の寒さと間違えている
幸せはここになければないですね 模造品なら並べてますが *
β版押しボタンだけ機能する更新される街に佇む
安心が給与されればいいわけで大金とかは求めていない
恋とか愛とかわからない その熱で春か夏さえ見誤るのに
心に膜をはってみた 下手くそで気泡ができた剥がせば汚い
60偽物でいいから君に並びたい まちがい探し過ちはなし
あの夜に君が結んだ星たちを たまに結露で描いています
擦り切れた吊り橋渡る子どもたち 赤い目をしたサメの交通